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SPECIAL TALK

福山雅治×有村架純
スペシャル対談
●お2人は報知映画賞の授賞式で初めてお会いしてお話をされたと伺っていますが、その時の印象は?またその後印象が変わったことなど。
福山 すごく話しやすい方だなと思いました。しっかり話を聞いてくれて、聞かれた内容からずれずにちゃんと答えてくださる。お人柄が素晴らしいなと思いました。
●どちらから話しかけられた?
福山 たぶん僕ですよ。登壇する前の舞台の袖で。有村さんには、“話しかけていい空気”を感じました(笑)。
有村 (笑)。
福山 話しかけてほしくないなって空気を出されている方には、当然話しかけませんから。有村さんはすごくフラットで、“話しかけてくれたら話しますよ”という、ごくごくフラットな感じでいらっしゃったのかなと勝手ながら思いました。
有村 ありがとうございます。私は初めて福山雅治さんという方にお会いして、感動しました。TV、CM、映画と私がこのお仕事を始める前から既にご活躍されていた方だったので。実は私の母も福山さんのファンで、私がこのお仕事する前に「私も会いたい!」ってよく言ってたんですね(笑)。だから初めてお会いした時に「母よ…」と(笑)。「私は会いました!」と心の中で言いました。
福山 (笑)。非常に嬉しいです。
●お母さまには報告されたのですか?
有村 はい、もちろん。「かっこよかった?どうだった?」と興奮気味に言っていました(笑)。
福山 (カメラに向かって)「お母さん!福山です。娘さんは立派に育ってらっしゃいます!ご安心ください」
有村 (笑)。ちょっと親孝行ができたような気持ちです。当然私もお会いできて嬉しかったです。
●それからほどなく初共演が決まったのもご縁ですね。しかもバディ役で共演が決まった時は、率直にどのような想いでしたか。
福山 お会いした際の印象から、きっとお芝居、作品に対しても会話同様きちんと応えられる方だろうなと思っていました。どの現場もそうですが、今回も心してしっかり向き合おうと。
いろいろ想像はしていましたが、僕の想像以上に有村さんはお芝居の力がおありでした。実際現場で一緒にお芝居をさせてもらって、これは非常にいいセッションになるだろうし、芝居の中で役柄として会話をしながら、1カット、1シーンを積み上げていくことができるなという信頼感を初日から持つことができました。実は真世という役柄は、かなり難しい役だなと思っていたんです。実の父が殺された事件に、警察を信用することなく、叔父の武史が独自の手段で事件解決のため踏み込んでいく。それに付いていくことは、なかなか難しいですよね。でも武史にいい意味で巻き込まれていきながら、自分から火中の栗を拾いにいくという真世の行動は非常にドラマチックでもある。果たして真世はドラマチックな人になれるのか…。この難しい役をどう表現するのかなというのは、僕は読者として小説や脚本を読んでいた時から感じていました。結果そんな私の「どうするのかな」という想いは、全くもって杞憂でしたね。素晴らしかったです。
有村 そんなそんな…。
福山 きっとこれまでお母さまにも言えず、人知れずいろんな現場で悔しい想いをされてきたんだろうなと思って(笑)。「ちくしょ~!こんなんじゃ終われないぞ、私は!」と歯を食いしばりながら、一言一言のセリフを伝えてこられたんだろうなと勝手に想像していました。
有村 フフフ(笑)。嬉しいです。そんな私の背景まで感じ取っていただいて。
●有村さんは神尾武史としての福山さんと対峙されてみていかがでしたか。
有村 福山さんって努力の方なんだなと感じました。一見すごくスマートに器用にお芝居に対してもなされる方なのかなと思いきや、すべてに対して努力で形にされてきた方なんだなっていうのは、現場で見ていると理解できて。だからこうやってずっと活躍され続けているんだなって思いました。プロとしてずっと第一線にいるってことって、本当に簡単ではないので。その位置にずっとい続けることもすごく大変だし。そこでしか感じられない孤独だったり、悩みだったりも数々乗り越えられてきたんだなっていう背中が見えました。
●初共演とは思えないほど、お互いの背景まで深く理解し合ってらっしゃいますね。
福山 有村さんはちょっとお母さんみたいなところがあるんですよ。
有村 (笑)。
福山 心配してくださるんですよ。「寝れてます?」「ちゃんと栄養のあるもの食べます?」とか。
有村 余計なお世話ですよね(笑)。
福山 いやいや。そうして心配してくださるので、それに僕もついつい甘えてしまう。「いや~寝れてなくて」と言ってみたりして(笑)。そしたらもっと優しいことを言ってくれるんじゃないかって期待してしまうんです(笑)。有村さんのそういう人柄が役柄も受け止めるし、作品も受け止めてくれる。作品や役柄に準ずるというか、そこに身を投じてすべてを投げうってでも役柄を演じ切るというような凄みを感じました。優しい母性もありながら、強靭な精神力、タフさもある方だなと思います。
●有村さんは福山さんが努力の方だというのは、どこから感じられたのでしょうか?作品や役柄に向かう真摯な姿勢からでしょうか。
有村 そうですね。よくスタッフさんともお話されている姿も見ていましたし。目に見える部分で言うと常にマジックで使うコインを手放さず、ずっと触れてらっしゃったりとか。あとは膨大なセリフを一切噛まずにスラスラッと言われたり。マジックをしながらセリフを言うのって本当に難しいことですけど、現場では完璧にされていらっしゃいました。それってとてつもない練習をしていないとできないと思うので、おうちにいる時間にどれだけ練習されたんだろう?と。ましてや音楽活動をされながら、どっちも全力でやられているじゃないですか。ちょっと私にはそのキャパシティは持てないから…一体福山さんはどうなっているんだろう?って。今も謎です。
福山 ミステリーですね(笑)。
有村 はい(笑)。
福山 だから心配してくれるんです。優しいんですよ。
●福山さんは今回初のダークヒーロー役でマジックにも挑戦されましたが、有村さんが挑戦してみたいことはありますか?お仕事でもそれ以外でも。
有村 …スカイダイビングに挑戦してみたいです。
福山 僕はそれだけはやらない人生にしようと思ってるんです。怖いから!なんでやりたいんですか?
有村 ジャングルジムとか観覧車とかは怖いんですよ。
福山 ちょっと現実が見える感じですね。
有村 はい。でも(スカイダイビングは)あまりにも高すぎて分からないんじゃないかなって。躊躇なく「いくよ~」ってなったらスッといけるんじゃないかなと思って。
福山 ほお…。
有村 バンジージャンプは怖いけど、スカイダイビングだったらいけるんじゃないかなって思っています。
福山 バンジーはやったことあるんですか?
有村 ないです(笑)。
福山 バンジーをやらずにもうスカイで…(笑)。
有村 想像できないじゃないですか。どういう高さのところから?って。
福山 僕以前聞いたことあるんですけど、スカイダイビングは女性は上空に行けば必ず全員飛びますと。何人か(上空で)やめますという人がいるんですけど、それはほぼ男性らしいですよ。「分かる~」と思って。だから最初から僕はやらない人になろうと思ってます。
●福山さんはマジックは今も続けてらっしゃるのでしょうか?
福山 コインロールの練習はちゃんと継続しようと思ってやっています。せっかく身につけたのにできなくなっちゃったっていうのは嫌なんです。そういう人を1人知っているんですよ。大泉洋さんっていうんですけど。
有村 (笑)。
福山 大泉さんが『晴天の霹靂』という映画で、素晴らしいオープニングマジックを披露されているんです。
有村 見ました!
福山 「洋ちゃん、すごいよ」と。「あれさ、どうやったの?」と。(*大泉がやる福山のモノマネの口調で)「1カットでやったんでしょ?」と聞いたら1カットだと。リテンションバニッシュもコインロールもやっていましたね。いずれも本番でうまくいった1回を、採用されているらしいです。「どうなの?洋ちゃん。俺今マジックの練習してるんだけど、今もできるの?」って聞いたら、「全くできませんね~!あれ以来やってませんね~!」と(大泉のモノマネ)。「もったいないんじゃない?」って。(大泉のやる福山のモノマネ)
有村 (笑)。
福山 なので僕は続けてます。もったいないなと思って。
●モノマネまでしていただいてありがとうございます(笑)。
福山 え?僕モノマネしてました?
有村 (笑)。
福山 無意識で役が降りてくるので。
有村 何の役ですか?(笑)
福山 大泉さんが僕をマネする時の大泉さんと僕(笑)。もはやどこにも実態がいないんです。
●今後やってみたい役柄は?
有村 いっぱいありますよね。 福山 年齢があるのでね。もちろん、できる限りは何でもやりたいですが…。例えば音楽の世界は作詞をして小学生の頃のことも歌えるわけですよ。でも俳優として小学生の役はもう無理じゃないですか?
有村 コントとかじゃないと。
福山 そうそう。コント化していくでしょ。僕は年齢を重ねて思うのは、俳優という仕事は切ないなと。セリフを発しながら体を同時に動かす。健康じゃないとできないですよ。ちゃんと自分の体をコントロールできる状態じゃないとね。あとは年齢に合う役柄っていうものがあるから、年齢設定によって決まってきます。年齢を重ねれば重ねるほどそれは狭まって来るので、有村さんはどんどんやった方がいいと思う。やりたい役柄は、何かないですか?
有村 いっぱいあります。専門用語をたくさん話す役とか。実は医療系や、刑事ものってやったことがないんです。刑事でめちゃくちゃヒールで走るとかもやってみたいですね(笑)。職業ものって意外とやっていないので、本当に体力があるうちにやりたいです。
福山 職業ものは毎回職業訓練ですからね。今回もマジシャンという職業ものでしたし。だからこそこの年齢になってやったことのないものに挑戦させてもらうのは、本当にありがたい。俳優という仕事は切なくもあり大変ありがたい仕事です。しかも年齢を重ねるとどんな役をもらったとしても、大体出来上がっている人の役が多い。プロ中のプロであるとか、天才であるとか、そこから入っていかないといけないのでハードルは高いんですが、本当にありがたいです。僕は俳優というお仕事をやらせてもらっていなかったら、一生コインマジックというものはやっていなかったと思うのでこれはラッキーでしたね。
●お2人のテンポのいい掛け合いも魅力的でした。印象に残っているシーンはありますか?
有村 現場でトランプマジックをやられてましたよね?
福山 「あなたが引いたカードはこれですね」ってやつね。やりましたやりました。
有村 撮影合間にそれを披露してくださって一緒に遊んでたんですよ。でも私、タネが分かっちゃって(笑)。
福山 あれが分かった人は、有村さんだけですよ。
有村 え?そうなんですか!?
福山 よっぽど僕の言い方が下手だったのか、有村架純を前にして僕が非常に緊張してボロが出たのか。簡単に見破られました(笑)。
有村 それがちょっと面白くて。「あ、(タネが)分かりました!」って言ってやってみたらできちゃって(笑)。
福山 できる人なんですよ。だから俳優の仕事ができる。きっとマジシャンもできますよ?
有村 いえいえ!コインロールもちょっとやらせてもらったんですけど、もちろん全然できなかったです。
福山 心理戦が得意なんじゃないかな?人の嘘が分かる?
有村 いや~どうなんでしょう。
福山 あまり騙されたことがないとか。
有村 疑り深いところはあるかも…。
福山 大事大事!(笑)そんな話もしましたよね。占いを信じるか信じないかみたいな。
有村 しましたね!
福山 有村さんの皆さんが持ってるパブリックイメージはいろいろあるとは思いますが、疑い深い有村架純の顔っていうのはチャーミングですよ!
有村 (笑)物事の先を見ちゃうというか、その言葉の裏には何が?と考えちゃうクセがあるんです。職業病なのかなって思うんですけど。
福山 この仕事をやるようになってから?
有村 そうですね。
福山 それはあるかもしれないですね。
有村 細かいところまで考えちゃうクセがある。いいのか悪いのか。
福山 確かにセリフっていうのは読めばただ単に言葉を言っているだけなんだけど、そこには必ず感情が乗っていますから。セリフの裏に何があるのか…それが一種類の感情なのか、二三種類あるのか。その感情に至るまでどういう過程でこのセリフになっているのかを、俳優は考えないといけない。たぶんこの仕事をする前までは、もっと簡単にマジックに引っかかってくれる人だったんですよ(笑)。
有村 たぶん…そうだと思います(笑)。
●有村さんは福山さんの意外な一面などは発見されました?
有村 すごく気さくで軽やかで。いい意味で緊張感を持たずにお話できる方でした。
福山 よかった。
●スターのオーラにも緊張せず・・?
福山 それは誇張された福山雅治像ですから。
有村 (笑)。
福山 それを誇張していったのは大泉洋さんです。それがちょっと面白いなと思って乗っているのが僕ですね(笑)。普段スターのオーラとかないですよ、全然!
有村 存在感はありますよ、やっぱり。
福山 ありがとうございます。それは存在感が求められる場所に行って、「ちょっと存在感出そうかな」ってがんばって出してる時ですよ(笑)。一生懸命、絞り出しています!
有村 (笑)。
●映画を楽しみにしている皆さまへ。
福山 映画『ブラック・ショーマン』。最高最強のミステリーエンターテイメントです。私演じる元マジシャンである神尾武史と・・
有村 その姪っ子である神尾真世が贈る最強タッグの謎解きです。
福山 叔父と姪というね。これはあまり見ないバディかもしれない。
有村 初めてですね。
福山 このスペシャルな最強バディ、最強タッグが難事件に挑んでいきます。僕にとっては兄、そして真世にとっては父である英一が殺されてしまう。その謎を解くためにタッグを組むわけなんですが、これに絡んでくる人物全員が嘘をついているんじゃないか。誰が本当のことを言って、誰が嘘をついているのか――その謎解きもありながら現代の社会が抱えている社会課題にも斬りこみます。地元の過疎化から地域創生を目指す人々、SNSによる特定や誹謗中傷でSNSが人の人生を大きく変えてしまう現実など…そういった社会課題も描かれています。そのひとつひとつの課題や一人一人の嘘を、元マジシャンである武史とまっすぐ謎に向き合っていく姪・真世がバディ、タッグを組んで解決していきます。完成品を僕も見ましたけど、どうでした?
有村 私は監督のアイディアもすごく面白いなと思っていて。台本以上に面白いエッセンスがたくさん散りばめられていて、目で見ても楽しめるし巻き込まれていく。気付いたら真世と同じように、見ている側も引き込まれていくような作品に仕上がっていました。
福山 面白かったですよね?スピード感もあって。
有村 はい!
福山 台本のセリフ量も結構あるし、ロケもいろんな所に行きましたね。あとは撮影の期間が一旦空いたりもしたので「結構時間がかかったな」という感じだったんですけど、いざ作品になってみるとそれぞれ時間をかけたいいシーンがいい状態で矢継ぎ早に展開されていた。スピード感もあって切れ味もいい。本当にエンターテイメントとして極上の隙のない仕上がりになっていると思います。映画『ブラック・ショーマン』是非劇場でご覧になってください!
有村 ご覧ください。